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Olivenote 編集部が、お店やイベントに行って直接お話を聞いてきました。

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日本人が知らないオリーブのジュース

オレンジジュース、リンゴジュース、マンゴージュース。新鮮な搾りたての果汁は爽やかな酸味、甘み、そして何よりも香りに心を奪われる。

 

農林水産省の六次産業化支援政策もあり、昨今では摘みたての果実を手早くジュースに加工しECで直接販売する生産者が増えてきたおかげで、これまで味わうことが出来なかった希少かつ新鮮な果実の搾りたてを自宅にいながら簡単に楽しむことができるようになってきた。このように果物本来の美味しさを家庭にいながら身近に楽しめる方法が増えてきたことは大変喜ばしい。

 

ところでオリーブノートのテーマコンテンツのひとつでもあるオリーブオイルは、オリーブのジュースとも喩えられるのは皆さんご存知だろうか。製法を簡単に言うと、オリーブのジュースたる所以そのままに摘んだオリーブを粉砕して搾る、たったそれだけ。リンゴジュースとまったく同じ要領。しかし、このオリーブのジュースを味わう機会は私たち日本人にはあまりない。

  

天空高くよりかけ落ちるオリーブオイル

2011年から放映が始まったMOCO’Sキッチンも一役買って国内家庭用オリーブオイルの消費がますます順調のようだ。果実であるオリーブの生産が少ないわが国では、消費されるオリーブオイルの大半は船積みの輸入品か防腐処理がなされた輸入オリーブの加工品となっており、摘みたての弘前産リンゴジュースのように新鮮で安全なオリーブオイルを楽しむ機会はほとんどないのが現状だ。

 

特に早摘みのオリーブオイルは葉緑素が多く残り美しいエメラルド色に輝く。オリーブ本来の若い果実の強い香り、口に含んだ瞬間に感じられる甘やかなコクと舌の奥が痺れるような辛味と苦味がすばらしく、オイルというよりはちょっと高級な“かける調味料”といったほうがその価値を伝えやすいだろう。

 

そんな早摘みのオリーブオイル“ジュース”いわゆるヌーボーの価値にこだわって日本の家庭に少量ずつだが提供を始めている日清オイリオに2017年早摘みオリーブオイルヌーボー、『ピエトラ・コロンビナ』の供給背景を取材した。

  

有機栽培と空輸

2003年冬、たった300本の販売で始まったイタリア・トスカーナのオリーブオイルヌーボー。このオイルは、世界オリーブオイルコンテストの審査員でもある日清オイリオグループ株式会社の鈴木俊久氏が、かけるだけで美味しいというオリーブオイルを日本の食文化に根づかせるべく、特に日本の食材に会うオリーブオイルを世界各地で探し、イタリア・トスカーナの生産農家と出会い、現地でしか楽しむことが出来なかった早摘みのヌーボーを日本人に届けることから始まったものだ。

 

筆者が取材を通じて感じたピエトラ・コロンビナ最大の特色は、有機栽培のオリーブにこだわり続けていることと、ヌーボーの衝撃的なまでのフレッシュさを感じて頂く為のスピードロジスティクスにある。収穫されたオリーブはその日のうちに粉砕されじっくりとその果汁を搾ってゆく。洒落たクラシカルボトルに詰められたヌーボーは速やかに空輸され、今か今かと待ち焦がれている顧客の手元へ迅速に届けられる。

 

専門店で少量売られているオリジナルボトルであっても大半は船便であり、ヌーボーを本来のスペックで味わうことはどこで買ってもまず難しいのだ。(前回取材したオリテーカもヌーボーは少量の空輸に限定している)

 

ヌーボーは時間との勝負。日本の六次産業化的な生産農家で直接搾り、即空輸するしか手段がない。まさしく日本の農家から届けられるジュースのように楽しんで頂くために、驚くべきコストをかけて届けられる。

 

一方の有機栽培にはなぜこだわっているのだろうか?じつはオリーブという果実は生物の本質、繁殖を行う為に、様々な生き物をその香りで惹きつける。中でもオリーブミバエはやっかいで、オリーブのオイルの品質を著しく落としてしまう害虫なのだ。

※以下の写真はオリーブミバエの害によるもの(ピンボケですみません・・・)

 

したがって、安全に配慮した一定の農薬の利用は寧ろオリーブオイルの品質を維持する為には必然ともいえる。しかし、加熱せず日本のしょう油のようにかける調味料として楽しんでいただくためにとことこんこだわった結果、イタリアのトスカーナで手間をかけ無農薬で生産されるオリーブを選択した。丘陵地帯のトスカーナは日本で言えば軽井沢のような冷涼な気候のため、オリーブミバエの害が少ない地域なのである。とはいえ年によって被害は様々であり、人の手を介してその害から守っている特別なオリーブなのである。

 

こうして実ったオリーブは、年毎の生育状況を見ながらセレクトされた農家のものだけを使って『ピエトラ・コロンビナ』となっていくのである。しかし、ここでも日清オイリオは看板に偽りがないよう科学的な農薬分析試験やオリーブオイル品質を確認する分析を行い、それに合格したオイルのみがピエトラ・コロンビナとして瓶詰めされるのである。

  

一本余分に買っておきたくなった

トスカーナ産の無農薬栽培オリーブをその生育状況から毎年セレクトし、農薬分析試験をパスしたオイルのみでブレンドされた生え抜きのヌーボーを、コストを費やし空輸する。有機認定の分析資料を見せて頂いたので以下に紹介する。

 

 

このような手間をかけ日本に届いたオリーブオイルが目の前にある。ため息が出るような逸品をテイスティングさせて頂いた。

 

 

テイスティングカップに注がれた『ピエトラ・コロンビナ』を掌でゆっくりと温める。ワインやスコッチのテイスティングのように、片方の鼻腔から香りを感じて見ると、むせ返るような青い果実臭が鼻の奥を刺激する。筆者は2014年のピエトラから毎年購入しているのだが、今年のものはよりスパイシー感が強いように感じる。期待を胸に一口含み、鈴木先生に教えて頂いた方法で舌を転がして一気に飲み込んだ。恥ずかしながら、その刺激にしばらく咽てしまった。

  

辛い、苦い、痺れる。

  

そして甘いキックバックの余韻が深く残り続ける。訳知り顔で

 

「ことしのヌーボーは素晴らしいですね。」

 

日清オイリオの担当者に意見をしてみたところ

 

「今年は、エッジがたってヌーボー本来のフレッシュさが分かりやすくなっていますね。でも、正直、今年はイタリアの生育状況が厳しかったため、一定水準は超えているものの、100点満点とまでは行きません。」

 

う〜ん、実に厳しい。ここまでやって、そのご意見とは・・・へりくだるにも程がある。最後にひとつ意地悪な質問をさせて頂いた。

 

「なぜそこまで厳しくなさるのですか?これではビジネスとして成立しづらいのではないでしょうか。」

 

「すべてはブランドを維持する為です。」

 

今年のピエトラは、一本余分に買っておくことにした。

 

  
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