オイルのこばなし4コマ・馬かオリーブかのたたかい／乙幡啓子

食用オイルには様々なものがありますが、日本で油が食生活の中に入ってきたのは室町時代後期から安土桃山時代にかけて。オリーブオイルの起源に至っては、7~8000年前の西アジア（トルコ南部）だそうです。
そんな歴史の深～い油にまつわるヒトネタや、ちょっぴり「へぇ～！」と感心しちゃうオイルの楽しみ方などを、4コマ漫画で楽しく紹介していきます。

今回はオリーブのこばなし

初回は油売りの斎藤道三、2回目はガマの油売りと、本当にここオリーブオイルのサイトなのかいと疑うようなコラムでしたが、やっとここでオリーブにまつわる話が出てきますよ。

オリーブの本場ギリシャ、その首都アテネに関するオリーブこばなしです。

アテネの古名「アテーナイ」、この名の由来は知恵と芸術、工芸、そして戦略をつかさどる女神アテネなんですが、ギリシャ神話の中ではそこで海神ポセイドンと一悶着あったことが記されているようですな。

伝統的なギリシャ神話の書物を引用した英文サイトを見つけましたので、すみませんがここでGoogle翻訳ぶっ込みます。

「アテネとポセイドンはかつてアテネの支配権をめぐるコンテストに参加しました」

コンテストと聞くとなんだか穏やかで大変妙な気持ちになりますが、ここは「争い」「抗争」「競争」とでもいうような意味でしょうか。

「ゼウスは、人に最高の贈り物を与えた神に都市を授与することに同意しました」

出ましたゼウス。割とあらゆるもめごとのおおもとである神よ。ちなみにアテネはゼウスの額から、武装したまま産まれたんだそうです。額？？武装？？？こっちの話のが、気になるじゃないか！？気を取り直して、はい次。

「その後、アテネはアクロポリスの岩から飛び出させた最初のオリーブの木を作成し、ポセイドンは馬を生産しました」

Google翻訳様に頼ってますので、ビジネス的表現はご容赦ください。

はい、出ましたオリーブ。アテネはオリーブの木を生やし、ポセイドンは〜海をゆけ〜♪じゃなくて（古いので気にしなくていいです）、馬を出した、と。
馬vsオリーブの木、ファイッ！

馬か、オリーブか

「神はアテネの方が良い贈り物だと判断し、彼女に街を授与しました」

つまり馬よりオリーブの方が、アテーナイの人々にとって有益だという判断が下ったわけですね。食べてよし、油を絞ってよし、石鹸やお肌の手入れ、などなど人民の役に立つ様々な用途があると…。

勇壮に馬を出してドヤ顔のポセイドンを、細やかな配慮でクイっと組み伏せた女神アテナ、という絵が浮かんでしまいますな。「北風と太陽」みたいな話にも思えてきます。

でももし馬出したポセイドンが勝ってたら、ギリシャの首都は今頃アテネじゃなくてポセイドンになってたのかな、なんて。「ポセイドン市役所」「ポセイドン観光」「ポセイドン行き256便」、うーん、すごい圧！本場の「ポセイ丼」もきっと誕生したでしょう。

ところで漫画に唐突に現れた、緑の者たちは誰だ（ってなんとなくわかるけど）。

それはまたいずれ！

参考サイト：https://www.theoi.com/

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乙幡啓子

1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト　妄想工作所