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今年の夏はコロナ禍で、海水浴場はほとんど閉鎖されています。私のベース基地、南房総はいつもの夏なら大勢の海水浴客とキャンプ族で大賑わいですが、今年はまるで真冬の海のように誰もいません。私は海水浴もキャンプもほとんどせず、砂浜を散歩するぐらいですが、それでもこうあまりに人がいないと不思議と張り合いがないものです。
そんなある日、いつものように砂浜を散歩していると、海藻やら材木やらヤシの実やら(これはどこかで誰かが飲んだヤシの実ジュースの殻。童謡のようなロマンチックなものではない)が打ち寄せられています。いつもは海水浴場やキャンプ場が開設されると、地元の人達がブルドーザーを使ってこうした海藻や流れ着いたものを一掃するのですが、今年は一切そうした手入れがなされていないようです。落ちているものを見ながら歩いていると、ふと気付きました。どこかで見たような海藻が落ちているのです。
その海藻がこれ、テングサです。名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんが、正式には紅藻類テングサ目テングサ科に属する海藻で、一口にテングサといいますが、さまざまな種類があります。一般的には「マクサ」というテングサが上質なものとされていて、色は鮮やかなえんじ色です。まさにこれが寒天の材料になるのです。
寒天というと、原料としては粉寒天か棒寒天ぐらいしか見たことがないかもしれません。でも、これが本当の寒天の材料です。テングサから煮出した寒天は、粉や棒とは比較にならないほど、別格のおいしさです。磯の良い香りと、しっかりしていながらプルンとした食感、なめらかさは、一度食べたらやみつきです。
実はテングサはアワビやサザエと同様、漁業権の対象になっている地域が多く、勝手に海の中に生えているテングサを採集してはいけません。
しかし…海岸に落ちているものを拾うことまでとがめられることはありません。海が荒れたあとには、海中でもまれて千切れたテングサが大量に打ち上げられるので、こういう時を狙って拾いに行くと、漁業権を侵害することなくテングサをゲットできるわけです。
ただ、テングサは採集してから寒天にするまで非常に手間がかかります。というのも、テングサにはアクがあって、アク抜きには日に干して乾いたら水をかけ、また干して、水をかけ…をテングサが白くなるまで大体1週間ぐらいは繰り返さなければならないのです。そうなってはじめて煮出すことができるという、面倒な海藻です。
しかし、そんなことで挫折してはいけないと思いながらテングサ拾いをしていると、また気付きました。打ち上げられてから日にちが経ってカラカラになっている海藻の中に、白いテングサがあるじゃありませんか!
この白いテングサは打ち上げられてから砂浜で乾き、波をかぶりまた乾き…を繰り返した結果、自然にアクが抜けているということです。おー、ラッキー!これを集めればいいわけじゃないですか!
砂浜を200mほど歩いて、片手では持てないほど拾うことができました。
絡みついている貝殻や他の海藻を取り除き、きれいにもみ洗いしてからザルに広げて一度干して、寒天づくりの前段階は一気に終了です。得した気分です。
いよいよ寒天づくりにとりかかります。大きな鍋とザル、さらし、ボウル、タッパーと酢があればそれで準備はOKです。酢を入れないとテングサの成分が抽出されないので忘れてはいけません。
1. テングサを水に浸けてもんでおく。
2. 大きな鍋に水を入れて沸騰させ、1と酢を入れて中~弱火で30~40分煮る。吹きこぼれそうになるので、注意する。最初は湯がサラサラしているが、テングサが柔らかくなり、湯がトロトロしてくる。そうなったら火を止める。
3. ボウルにザルを置き、さらしを敷いて、その上から2を静かに注いでこす。
4. ヘラなどでギュッと押してできるだけ絞る。
5. 抽出した寒天液を、タッパーなどに入れて粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やし、寒天のできあがり。
ここまで来ると、見たことあるものになっています。これが本当の寒天です。手間はかかりますが(といっても今回は手間は半分以下になってます)、自力で作った寒天は抜群です。テングサ50gも作れば、ものすごい量の寒天ができます。そこでこれをあれこれアレンジしましょう。そのために実は濃いめに作っておきました。
寒天はご存知のように食物繊維が豊富で、腸活にはベストです。また以前、アメリカでは寒天を食事の中で摂取すると胃壁に寒天成分がくっついて、脂肪分の吸収を防ぐ働きがあり、ダイエット効果が高いと発表されたこともあります。すばらしいじゃありませんか。大いにたべることにしましょう。
これはレシピというほどのものはありませんが、豆にこだわって北海道産の赤エンドウを自分で茹でました。豆のほどよい塩味が寒天、沖縄産黒蜜、どこ産かわからないバナナとあわさって、絶品です。
寒天というとスイーツがまず思い浮かびますが、ここは夏らしく寒天寄せを作ります。
寒天は常温でも固まっていますが、火にかければ溶けるので一度火にかけて日本酒、塩と鰹だしの素を入れてお吸い物ぐらいの味付けにします。その中に1cm程度に切ったエビやホタテ、小口切りのオクラ、ミニトマト、枝豆などを入れてさっと煮たら型に入れて冷蔵庫で固め、エクストラバージンオリーブオイルをかければできあがりです。
あっさりとした寒天寄せに上質のオリーブオイルをかけることでコクが出て、ちょっとしたごちそうに。
同様に、お吸い物の味付けにしたところで溶き卵を流し入れ、具材とさっと煮てから冷やし、崩しながらグラスに入れてオリーブオイルをかければ、ちょっと目先の変わった寒天寄せができます。
寒天はもちろんテングサを拾って来なくてもできます。寒天は多めに作っておけば、寒天寄せに使っておかずにすることできるし、豆かん、あんみつなどのスイーツ、それからお米を炊くときに入れると米にツヤが出る上に、ダイエットにもよいとか。
寒天は思いのほか色々なものにアレンジできるので、ぜひおうちごはんに取り入れてみませんか。腸活やダイエットに効果がある、となれば見逃してはいられませんよ。
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しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。