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近年「カカオの2050年問題」などと呼ばれるように、気候変動や経済の影響など様々な要因で価格が上昇しているチョコレート。
そんな中、これまでメジャーな産地では無かったベトナムカカオが、世界のチョコレートメーカーやクラフトブランドから注目されています。
この記事では、ベトナムカカオの特徴や魅力、現地のサステナブルな取り組み、ベトナムカカオを使っているチョコレートブランドなどをご紹介します。
ベトナムカカオについて詳しく知り、家庭で選ぶチョコレートの選択肢を増やしてみてください。

ベトナムがカカオの産地として注目されているのにはいくつか理由があります。主な理由を3つ挙げてみます。
以前カカオショックの記事でもご紹介した通り、コートジボワールやガーナといったアフリカの主要生産国では、カカオ豆の収穫が激減しています。
原因は、気候変動による温暖化や病害、農家の高齢化、投機的な影響など様々。
そのため、アフリカ以外の生産地が注目され、小規模農家を支援する動きが活発になっています。
ベトナムでは、世界的な生産量は少ないものの1800年代のフランス統治時代からカカオ生産が続いており、国の奨励や生産者の努力もあって質の高いカカオが作られています。
ベトナムで生産されるトリ二タリオ種のカカオは、フルーティーな酸味やコク、風味などの評価が高く、世界中のショコラティエやクラフトブランドから注目を集めています。
2013年には、パリで開催される「サロン・デュ・ショコラ」でアジア太平洋地域で最高品質のカカオに選ばれ、国際カカオ機構(ICCO)からも世界のトップ生産地リストに加えられました。
ベトナムでは、2000年代から政府がカカオ生産を奨励し、ホーチミン農林大学では、カカオの交配や発酵などの研究も進められています。
生産から製造までを一貫して行うビーン・トゥ・バーも盛んで国内ブランドも続々と登場しています。

ベトナムでは、ほかのカカオ産地と違ったベトナム独自の取り組みもあります。
フランス人や日本人などベトナムカカオに魅力を感じた国外からの支援が多いのも特徴です。
カカオ豆は一般的にバナナの葉おおって自然発酵させることが多いですが、ベトナムではブランドによって果肉がついたまま木箱に入れ、独自に開発した技術で発酵させる、酵母菌を加えるなど様々な工夫がされています。
発酵方法を工夫することで発酵のばらつきが抑えられ、より香り高く、品質の安定したカカオ豆が生産できます。
ベトナムのチョコレートブランドは、農家への支援プログラムや農園からチョコレートの製造工程までの見学ツアーを行っているところが多く、カカオ農家の生活水準が向上することへの理解や持続可能性への関心を高める助けになっています。
マーケットには、地元産のビーン・トゥ・バーチョコレートがずらりと並び、お洒落なパッケージデザインのものも多いです。
カシューナッツやココナッツ、マンゴーやパイナップルなど地元で生産される作物を積極的に取り入れているのも特徴で、ベトナムでしか味わえない味が楽しめます。

種類豊富なベトナムのチョコレートブランドですが、今回はその中でも特に中心的な役割を果たしている「マルゥ(MAROU)」と「ビノンカカオ(BINON CACAO)」と日本を拠点にベトナムチョコレートを扱う「カカオ研究所」をご紹介します。
ベトナムで出会ったフランス人二人が、ベトナムカカオの質の高さに惚れ込んで創業したブランドです。
ビーン・トゥ・バーの考えに則り、ベトナムの最高級の原材料のみで作られるピュアチョコレートを生産しています。
ベトナムの風景や自然にインスパイアを受けてデザインされた華やかな包装紙も素敵です。
公式サイト:https://marouchocolate.jp/
「ビノンカカオ(BINON CACAO)」は、日本人女性が現地で立ち上げたブランドです。
日本語の「美=BI」とベトナム語の「NON=農業」を合わせたブランド名で、ベトナムカカオの普及を目指して活動しています。
ICA WORLD銀賞を受賞受賞したスティックチョコレートをはじめ、味だけでなくお洒落でスタイリッシュな商品やパッケージも魅力。
日本でもデパートの催事などで購入可能です。
公式サイト:https://binon-cacao.com/
福岡を拠点にしているビーン・トゥ・バーとクラフトチョコレートの専門店です。
「カカオ研究所」の名前にふさわしく、ベトナムの現地の農家と協力してカカオの研究やカカオ農家の問題解決にも取り組んでいます。
福岡だけでなく、ベトナムにも工場と販売店があります。
公式サイト:https://cacaoken.com/

品質も高く、世界中から注目されているベトナムカカオですが、課題もあります。
以下にいくつか課題を挙げてみます。
生産規模が小さい
ベトナムでのカカオ栽培は、主要産業のコーヒー栽培などに比べるとまだ規模が小さく、発展途上といえます。
また、歴史も比較的浅く、栽培技術やビジネス的にもまだ未熟さが残る部分もあります。
今後のさらなる発展が期待されます。
まだ認知度が低い
チョコレート業界では注目が高まっているベトナムカカオですが、特に国外での一般的な認知度は低く、まだまだ普及が必要です。
日本国内でも限られた場所でしか買えず、知る人ぞ知る貴重なチョコレートとなっています。
収益性の低さ
ベトナムでのカカオは、他の農作物に比べて取引価格が低く、農家はドリアンなど他のフルーツも栽培して生計を立てていることが普通です。
農家がきちんと収入を得られる公正な取引や支援が必要とされています。

日本との関わりも深く、品質も高いベトナムのチョコレート。
規模は小さいながらも、ベトナムにしかない味やブランドの認知が徐々に高まっています。
気候変動や農家の貧困、後継者問題などカカオ栽培をめぐる問題は山積みですが、問題を解消するためのサステナブルな取り組みも始まっています。
「マルゥ(MAROU)」や「ビノンカカオ(BINON CACAO)」といったベトナム発の個性あるブランドも増え、チョコレート愛好家の注目も高まっています。
私たち消費者も、トレーサビリティを確認して商品を選べば、未来の食卓に寄与することもできます。
普段選ぶ商品を少しだけ見直し、新しいチョコレートを楽しんでみましょう。
参考:










ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。