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2024年10月22日

令和の米騒動はなぜ起きた?原因と対策について考えてみた

令和の米騒動はなぜ起きた?原因と対策について考えてみた

この夏、問題となった米不足。スーパーの棚からはお米が消え、読者の中にもお米をを買えなかった!という方もいるのではないでしょうか。連日の米不足のニュースも印象的で、まさに令和の米騒動とも言える事態が起きました。

なぜそのような事態が起きたのでしょうか。米不足によって引き起こされる問題や解消に向けて何が必要なのかについて考えてみたいと思います。

皆さんも、身近な食に関する問題として、ぜひいま一度振り返ってみてください。

  • ルイーザ(LUISA)
  • オリーブクエスト

米不足の原因6つ

米不足は、一つの原因だけでなく、複雑な要因が絡まりあって引き起こされています。ここでは、原因となりうる現状について紐解いていきましょう。

1.米農家の減少

米を作る農家は、近年減少傾向にあります。その要因として考えられるのは、農業従事者の高齢化や後継者不足、米の消費量の減少、気候の変動による米の収穫量や品質の不安定さなど様々です。米の価格が低迷していて農家にとって収益化が難しいことも原因の一つです。

2.政府の減反政策

政府は、米の過剰な生産を抑制し、市場価格の安定を図るために1970年農家も所得を確保するために減反政策を受け入れてきた経緯があります。

減反政策は2018年に廃止されましたが、米作は引き続き減少傾向で、減反政策の影響が考えられます。

3.前年の不作

稲作

米騒動が起きる前年の2023年は、全国各地で大雨や洪水被害が発生しました。また、猛暑など稲作に良くない天候が続いた結果、新潟や秋田などの米どころを中心に米の不作が発生しました。

4.災害の影響と消費者による買いだめ

2024年の8月には南海トラフ地震の臨時情報が出されたり、同月に地震や台風が発生したことで消費者の不安が高まり、備蓄用の食料として買いだめに走る人も現れました。

5.インバウンド需要の高まり

インバウンド

新型コロナによる行動自粛が解け、日本へのインバウンド(訪日外国人)も増え続けています。インバウンド観光客には和食が人気で、寿司やおにぎり、丼などの米を使った料理の需要も高まっています。

6.中食産業の盛り上がり

中食産業

中食業界では、家庭内で料理を作る機会の減少により、食の外部化がすすみ、弁当やおにぎりなどの米飯類の消費が拡大しています。

米が不足すると起こる問題4つ

1.価格の高騰

米の供給が不足すると、需要と供給のバランスが崩れ、米の価格が高騰します。
これにより、低所得層など米が買えない人も出てくる可能性があります。

また、消費者だけでなく、外食産業や生産者など幅広い範囲に経済的な影響を及ぼします。

2.代替品へのシフト

米不足が長期化すると、食料安全保障への脅威が高まります。米離れが起こり、他の食品への依存が高まります。

米の価格が高くなると、パンやパスタなどの麺類に主食がシフトすることが考えられます。他の食品への需要の高まりにより、米以外の食品の価格も上がる可能性があります。

3.農業への影響

米不足により、一部の農家には一時的な収益の増加が見込まれますが、長期的には気候変動や災害によるリスクが懸念されます。

また、米が増産になると農業資材の需要も増加するため、生産コストが上昇する可能性があります。これらの影響により、農業の経営が厳しくなることも考えられます。

4.輸入への依存

現在、米の食料自給率はほぼ100%ですが、将来的に不足が続くようなら輸入に頼らざるを得なくなります。

輸入の割合が増えると、国内での米の生産はますます減退し、輸入への依存が強まります。

解消に必要なこと

米不足の原因はすぐに解消できるものではなく、継続的な取り組みが必要になります。
また、従来の生産の在り方や消費者の意識も変えていく必要があるかもしれません。

効果的と考えられる対策をいくつか挙げてみます。

生産の拡大と効率化

農業にもAIやloT技術を取り入れて、スマート化を目指します。これにより、生産が効率化され、人員不足などの問題に対応できるでしょう。

農家へのデジタル技術の教育やサポート、インフラ整備などが今後の課題です。

政府の支援と政策

米不足を解消するには、政府の支援や政策も大切です。政府には、耕作放棄地を活用して米の生産面積を増やす、気候変動に強い新しい品種開発の支援をするなどの役割が求められます。

また、米不足が続く時には、適切な備蓄米の放出で、供給不足の緩和や価格を安定させるなどの対応が必要です。

持続可能な農業の推進

持続可能な農業をするためには、環境への配慮が重要です。環境保全をしつつ、水資源の適切な使用を目指すのが次世代型の農業です。

化学肥料の使用を減らして有機肥料を使うことで土壌を改善したり、効率的な灌漑技術で水の無駄を減らすといった取り組みがあります。

消費者への教育と意識向上

米の消費を増やすためには、消費者の意識改革も鍵となります。

地産地消の重要性を教え、地域の米を選ぶように促す、米粉を使ったパンや麺など新しい米製品の普及、伝統的な食文化としての米食を見直すなどの取り組みが必要です。

輸入の多様化

米不足を回避するには、輸出入のバランスを取る事も大切です。
米が足りない時には、国内のバランスを崩さない範囲で輸入し、供給が多い時には、海外に輸出するなどの調整が求められます。

米騒動を繰り返さないためには

米不足の背景には複雑な要因があり、また、災害や気候変動などは、今後も起こる可能性があります。このまま何も対策を取らなければ、今後も同じような事態が引き起こされる可能性が高いと言えます。

解消に向けた第一歩としては、米不足になった原因や今後何をすべきかを知ることが重要です。災害などで不安になっても過剰な買いだめは控える、小麦粉の代わりに米粉を取り入れてみるなど、できることからで良いので心がけてみると良いでしょう。

米は、これまで日本の食文化を支えてきた大切な主食。消費者である私たち一人一人の選択や行動が、伝統的な食文化を守ることにつながります。

●参考URL

東洋経済オンライン:コメが消えた夏」日本人が代わりに爆買いした物 データでわかった「令和の米騒動」の実態 | 食品 | 東洋経済オンライン
全農:米情勢.pdf
クボタのたんぼ データで見る田んぼ:農家人口などのデータ | データで見る田んぼ | クボタのたんぼ [学んで楽しい!たんぼの総合情報サイト]

企画:オリーブノート編集部
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