目次
ホタルイカの旬は3~6月で、今まさに旬ど真ん中です。価格も下がってきていて、とても買いやすくなっています。卸売市場の仲卸の友人によれば、今年は「『湾内産』がすごく安くなっててさぁ、ほんと信じられないぐらいだねぇ」とのこと。「湾内産」とは富山湾の湾内で獲れたホタルイカを指しますが、「湾内産」と「そうでない産」では味が全然違うというのです。
ホタルイカは今の時季、産卵をひかえて日本海を回遊しています。富山湾では3月1日に漁が解禁となるので、富山湾に入ってきたホタルイカは「湾内産」と呼ばれて「そうでない産」より2倍から3倍の高値で取引きされています。
「湾内産」と「そうでない産」では獲れた場所が違うだけ?と思われがちですね。「そうでない産」はだいたい兵庫が主ですが、これは日本海を回遊しているホタルイカを底曳き網(そこびきあみ)で獲ったものです。一方「湾内産」は、富山湾に産卵のために入って来るものを定置網(ていちあみ)で獲ったものですが、違いは獲れた場所と漁法だけではもちろんありません。
富山湾に入って来るホタルイカは99%以上メスで、オスは富山湾にたどり着く前に死んでしまいます。オスはメスに比べて身体が小さく味も落ちますが、メスは産卵をひかえてたっぷりと栄養を蓄えているので身体も大きく味が濃厚です。「湾内産」のホタルイカは大ぶりでおなかがパンパン、はちきれそうなほど栄養を蓄えていて、口に入れると肝のぽってりとした旨みがじゅわっと広がります。
一方、日本海を回遊しているホタルイカはオスが混ざっていて、まだメスの体も十分充実しているとはいえないので、味もやや淡白です。ただ、これは好みの問題があるので、肝がくどくてちょっと、という場合は「そうでない産」を選ぶとよいかもしれません。
いずれにしても今の時季は、水揚げ後すぐゆで上げたものがそのまま市場に運ばれてきているので、フレッシュそのものです。旬をはずすとあとは冷凍ものになってしまうので、まさに今、鮮度の良いホタルイカを味わってほしいところです。
ホタルイカはゆで上げを酢味噌やわさび醤油でいただく、という方も多いと思います。しかし、私はそれよりも醤油と酒、みりんでさっと煮たものが好きです。身が締まって肝の味もぐっと凝縮する感じで、ゆで上げとはまた違った風味があります。ただ、煮物だと最後に煮汁が余るのです。これは肝の旨みが混ざっていてすごくおいしい煮汁なのですが、かといって飲むわけにもいかない。結局最後は捨てることになります。あー、もったいない。
そこで、煮汁もそっくり味わえる炊き込みご飯を作ることにしました。肝の味の入った煮汁が米にしみこんで、きっとめちゃくちゃおいしいはずです。
イカがらみのご飯というと、有名な北海道の駅弁「森のいかめし」がありますが、これはイカの胴体に米を詰めて煮たものなので、肝は入っていません。
もちろんホタルイカの中に米を詰めることはできないので、まずホタルイカを煮て、その煮汁で炊き込みご飯にすれば、身の旨みと肝の旨みがダブルで味わえる素晴らしいものになるはずです。
さらに私の炊き込みご飯には定番ともいえる、魔法のエキストラバージンオリーブオイルをたらします。これでご飯にツヤとパラッとした炊き上がり、そして味にコクが保証されるわけです。
作り方は簡単ですが、ホタルイカの目を取るという下処理が必要です。でもこれは手でちぎっちゃえばOKです。
A)ホタルイカ用調味料
B)炊飯用調味料
1. 米をといで、30分~1時間程度ザルにあげておく。ザルにあげておくと米が水を吸っていないので、だし汁が米にしみこみやすくなる。しょうがをせん切りにしておく。
2. ホタルイカの目は硬いので、目を取る。手でちぎれば簡単に取れる。
3. 鍋にA)を入れて煮立て、2を入れて3分程度鍋をゆすりながら煮る。崩れやすいので箸でつつくのはNG。また煮すぎると縮んでしまうのでさっと煮るのがコツ。
4. 煮上がったら煮汁ごと30分程度そのまま置いて味をしみこませる。食べてみると味が濃いめに感じるが、ご飯にするにはこれでちょうどよい。30分たったら煮汁とイカを分けておく。
5. 炊飯器または土鍋に1としょうが、塩以外のB)を入れ、通常の水加減まで水を入れる。よく混ぜてから味を見て、やや薄めの吸い物ぐらいになるまで塩を入れて調整する。最後に4のホタルイカをのせ、オリーブオイルをたらして普通に炊き上げる。
6. イカをヘラでつぶさないようにさっくりとかき混ぜて、盛り付け。お好みで三つ葉や山椒の葉をのせてできあがり。
ホタルイカに限らず、炊き込みご飯をおいしく作るコツは、具材をまず下煮しておくことだと思います。具材とご飯を食べた時に、具材にはしっかり味がしみこみ、ご飯は薄めの味というのがおいしいと感じる炊き込みご飯だと、私は思っています。
さらに、ホタルイカの場合は特に柔らかくてパンクしやすいので、なるべく触らないのがコツです。ヘラでかき混ぜる時、ご飯茶碗に盛りつける時もなるべくイカは触らないように、そっと盛りつけてください。
あとは隠し味のオリーブオイル。これでご飯にツヤが出て、パラッとしてどこかコクがある味になります。
今が旬のホタルイカ。刺身だけでなく、ぜひ炊き込みご飯にも挑戦してみてください。
ピエトラ・コロンビナ
トスカーナ州産の実を使用したオリーブオイルの「ヌーボー」
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。