目次
大人も子どもも好きな人が多いチョコレート。普段のおやつや贈り物としても愛されているお菓子です。いま、このチョコレートが危機にさらされています。
この現象は「カカオショック」と呼ばれていて、チョコレート業界だけでなく世界中に深刻な影響を与える問題です。
今回は、私たちの生活にも直結するカカオショックについて詳しく解説します。チョコレート好きの方は、ぜひ記事を読んでチョコレートの未来について考えてみてくださいね。
カカオショックとは、チョコレートやココアの原料となるカカオ豆が不足して価格が高騰することです。
カカオ豆の価格は急騰を続けていて、ロンドンやニューヨークの先物取引市場では、2024年の3月から4月にかけて過去最高値を更新しました。これは、1年前の価格の約3倍にもなります。
なぜカカオ豆の価格はここまで上がってしまったのでしょうか?
カカオショックには複数の原因があり、それぞれが影響しあってカカオ不足と価格の高騰が加速しています。ここでは代表的な原因とされる5つをご紹介します。
カカオ豆は、コーヒー豆と同じように一部の地域でのみ栽培可能な植物です。主に、赤道付近の熱帯地域であるガーナやコートジボワールといった西アフリカの国々や中南米、東南アジアなどで生産されています。
カカオは干ばつに敏感で、気温の上昇と降水量の影響を受けやすい作物です。主要産地であるガーナとコートジボワールでは、2050年にはカカオ生産地に適さなくなるという複数の調査結果も出ています。
エルニーニョ現象の影響によって、カカオの栽培地域では気温の上昇と降雨パターンの変化が起きています。湿度が高いと病気にもなりやすく、カカオの収穫量を減らす大きな原因となるのです。
カカオの栽培農家は、小規模な家族経営の農園が多く、高齢化が進んでいます。
また、後継者不足も深刻で、労働環境の厳しさや収入の低さから、自分の子どもに継がせたくないという生産者も増えているそうです。
カカオ生産の苦境に反して、世界のチョコレート需要は伸び続けています。特にチョコレート菓子の人気が高く、新興の経済国で大きな需要があります。欧米では、プレミアムチョコレートやスペシャリティチョコレートといった高級チョコレートの市場も伸びています。
カカオの投機とは、カカオ豆の価格変動を利用して利益を得ることを目的とした市場取引です。気候変動や病気などの影響によりカカオの供給が不足するとカカオの価格が高騰します。すると投機マネーによる取引にも拍車がかかり、価格はますます上がってしまうのです。
カカオショックが続くことによって、チョコレート業界はもちろん、私たち消費者の生活にも影響が現れます。これまで身近な嗜好品だったチョコレートは、なかなか買えない高級品となります。
カカオショックによって最も大きな打撃を受けるのは、チョコレートの製造や販売を行っている企業です。企業の規模によっては死活問題ともなる深刻な影響が考えられます。
チョコレートの売上が伸びるバレンタインなどにも大きな痛手となるでしょう。
以下にどのような影響があるのかまとめてみます。
原材料であるカカオ豆の価格が上がると、チョコレート製品の製造コストももちろん増加します。製造コストが上がると、企業は商品の価格を上げざるを得ない場面も出てくるでしょう。
世界的な需要の高まりや、SDGs的な観点から、プレミアムチョコレートやビーントゥバー製品を扱う企業やパティスリーは増えつつあります。そのため、高品質なカカオ豆を確保する競争は激化しています。
品質を保つために仕入れ先も多様化する必要があり、供給チェーンの見直しも求められています。
一部のメーカーは、カカオを使用するコストを下げるために、植物性油脂や香料を使った商品の開発を進めています。
カカオショックは、私たち消費者の選択や生活にも影響を与えます。
チョコレート製品の値上げで考えられるのは、購入頻度の減少です。
低価格帯を求める層では、クッキー、キャンディ、スナックといった他のスイーツで代替する可能性もあります。
どうせなら質の良いものを選びたいと考える層では、プレミアムチョコレートや高級ブランドが選ばれるようになり、市場が二極化すると予想されます。
これまでのやり方とは違う、環境や社会に配慮したカカオ栽培の取り組みも始まっています。カカオ栽培を守るための企業単位での取り組みも盛んです。
農家支援プロジェクトとして農家への教育や技術支援、森林の保護を掲げている企業が増えています。世界的な企業や大手チョコレートメーカーなども支援に力を入れています。
企業は、研究開発によって病害虫や気候変動に強いカカオ品種の開発を進めています。この取り組みにより収穫量が安定し、カカオの持続可能性も高まります。
また、カカオへの過剰な依存を軽減するため、カカオを使用しない代替チョコレートや合成フレーバーを研究している企業もあります。
エシカルチョコレートとは、環境や社会、人などに配慮して作られたチョコレートのことです。具体的には、以下のような条件が当てはまります。
先進的な取り組みですが、価格の高さや普及率の低さ、認証制度の透明性など、まだ課題も多くあります。引き続き取り組みが求められています。
チョコレートの未来を守るためには、私たち一人一人の選択や行動が鍵となります。
エシカルチョコレートなどの生産者や環境に配慮した製品を選ぶ、農業を支援する活動に参加するなどできることは色々あります。
また高品質なチョコレートの適正価格を知り、感謝して楽しむことも大切です。
気候変動や地球温暖化などの問題も自分ごととして関心を持ち、美味しいチョコレートを食べられる未来を守りましょう。
参考URL:
・産地にいったい何が?「チョコレート危機」の実態 カカオ豆価格は1年で3倍
・“エシカル”なチョコレートが話題。バレンタインを前に知っておきたいサステナビリティとは? – table source
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。