ふだん何気なく使っている「醤油」という漢字。この字を見て、ふと気づいたんですよ。なぜ「油」という字が入っているのか、って。
ええっと、醤の油ね、醤は「魚醤」とかでも使われる「醤」でしょ、そしてそこに、油。…油?醤油って、油入ってたっけ???よく考えればなんとなく油っぽい、ような気もするけど、いやいやいや。醤油を油だと認識したことなんて、今までなかったと思います。
というわけで、かたっぱしから検索しまくって、調べてみました。
タイトル:液体を「油」を表現をしていた
幾人かのブログなどをたどり、最終的に「しょうゆ情報センター」のサイトに導かれると、その答えが載っていました。「しょうゆ」がどうして「醤油」という字になったかが、「大漢和辞典」を参照しつつ詳しく述べられています。
ここでは詳しくは書きませんが、前半の「醤」は「乾肉を切り麹と塩を加え、酒を注いで甕の中に密封してつくる」(引用)ことを意味しているそうです。
そして肝心の「油」。要約しますと、大漢和辞典によれば「油」とは「とろりとした液体」を意味する、と。それが、「醤」の字と組み合わせて用いられたと。つまり油分関係なく、とろりとした「液体」を油と表現し、組み合わせたわけです。そういうことか〜。
古い中国には「油油」(悠々)という、「おもむろに流れる様」という意味の言葉があるそうで、そこでも「とろり」という意味で使われているんだなとわかります。
「油」という言葉についてこれほどまで考えたことがなかったので、動物や植物から絞ったあぶら、という意味の他にもこんな意味があって、その意味を用いた単語もあるということ、初めて知りました。
気になって他の辞書でも調べてみますと、
あぶら【油/脂/×膏】「植物の種子などからとれる液体。菜種油・ごま油など」(デジタル大辞泉:goo国語辞書より抜粋)
ともあり、そういう意味では「醤油」も大豆からとれるものではあるので、広~い意味での「油」の範疇に入る、とも考えられそう。
ちなみにデジタル大辞泉:goo国語辞書には、数少ない「とろーり」系の単語の一つで「油凪(あぶらなぎ)」という言葉もありました。意味は「海面が、油を流したように波が立たない状態。べたなぎ」だそうです。確かに、そんな状態の海は重くとろーりと横たわっていそうです。
最後に、小学館 大辞泉(goo辞書より)からも抜粋してみましょう。
ゆ【油】
〈ユ〉液状のあぶら。
〈ユウ〉雲などが盛んにわき上がるさま。「油然」
とあります。また出ました、数少ない「『あぶら』以外の用法」。雲が湧き上がる様子を「悠然」でなく「油然」とも表せるとは初耳。夏の入道雲を「油然と湧き上がる」などと書いたら、暑苦しさ100倍マシな気もしますが。
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
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