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今回は、いろいろな意匠やシンボルに使われているオリーブの話。油飯も出てきた前回と打って変わって、久々にオリーブノートらしいお話を書きましょう。
意匠としてのオリーブによく一緒に登場しているのが「鳩」ですね。オリーブと鳩、その由来はもちろんご存知の方も多いでしょうが、旧約聖書「創世記」にまでさかのぼります。そう、「ノアの方舟」のくだり。いっぺんおさらいしてみましょう。
神の預言に従ってノアは方舟を作り、完成後にあらゆる動物のつがいと自身の家族とを乗せ、その後にやってきた洪水に耐えます。洪水から40日目、地上の様子を見るためにまずはカラスを放つのですが、カラスは水が乾くまであちこち飛び回るばかり。次にノアは鳩を放ちますが、降りる場所がまだ見つからないとみえて戻ってきます。その7日後にふたたび鳩を放つと、その鳩はオリーブの葉を口にくわえて戻ってきたことから、ノアは地上から水が引いたのを知った、というわけです。
そこから「オリーブ」と「鳩」が平和の象徴となり、いろいろな意匠に使われるようになります。そういえば文字通り、タバコの「ピース」のマークもオリーブと鳩でした!そして「国際連合」の旗にはオリーブのみですが、平和の象徴として採用されていますよね。地中海に浮かぶキプロス共和国の国旗は、ギリシャとトルコを表す2本のオリーブの枝で民族の平和を表しているそう。またその国章に至っては、2本のオリーブの枝の中に、オリーブをくわえた鳩までもあしらわれています。
他にオリーブが登場する国旗はないか、気になってざっと調べたところ、他にはエリトリアの国旗、パラグアイの国旗(真ん中の国章にオリーブが見える)にオリーブが使われていました。オリーブに縁のある地中海の国にもっと採用されているかなと思ったのですが、キプロスの他はアフリカと南米とは…ちょっと意外でした。
ところでシンボルといえば日本では…そう、家紋ですね。実は家紋の中にも「鳩+植物」という種類があるのをご存知でしたか?(さすがにオリーブは出てきませんが…)
「寓生(ほや)紋」というそうです。各自検索してみてください。鳩が2頭身で、なんだか想像以上にかわいいです。ちなみに「寓生(ほや)」とはヤドリギ科の寄生植物だそうです。
もともと日本での鳩のイメージはというと、軍事の神さまである「八幡宮」に縁が深いことから(鶴岡八幡宮の額の「八」の字が鳩からできていることも有名)、いくさの出陣の際に放鳥されるなど、「平和」とは逆の扱いだったようです。いまやすっかり平和の象徴として日本でもおなじみの鳩が、古来日本では戦勝の文脈に馴染んでいるとは、なんとも興味深いです。
さてノアの話に戻りますと、実は鳩がオリーブをくわえて戻ってきてから、ノアはまた7日後に鳩を外に放つのですが、その鳩はもう戻ってこなかったとか。果たしてその鳩は他の鳩とめぐりあえたのか。つがいで旅立たなかったのか。私はそこが気になります。
おっと、いつのまにかすっかり「鳩」の話になってしまいました。余談ついでに、実は漫画に登場させている鳥っぽい何かは「オリーブ×鳩」だったのです。さっき思いつきました。ではこれからもよろしくお願いいたします。
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。