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道路の端っこ、電柱の脇などにたくましく生えているのを見かけるヨモギ。
ヨモギはとても強い生命力を持っていて、ちぎられようが踏みつけられようが、見事に再生します。身近な場所にわんさか生えているせいか、“やっかいな雑草”という目で見られ、割と嫌われている植物かもしれません。そんな姿を見て、”あぁ、ワンちゃんのオシ〇コがかかってるんだろうなぁと思うことはあっても、おっ!、すごく体によさそう!”なんてことは誰も思いません。
しかしこのヨモギ、実は最も身近なファイトケミカルの一つです。ヨモギの仲間は世界中に分布していますが、ヨーロッパでは“ハーブの母、ハーブの女王”とも呼ばれて、大事にされています。春らしいあの芳香だけでなく、薬効もあることから、古代エジプトやローマではパンに混ぜたり、酒に浸けてリキュールとして飲まれていました。
中国漢方では“艾葉”(がいよう、病を止めるという意味)と言う名前で知られ、広く用いられています。日本では、平安時代の書物に薬草として使ったという記載があるほどです。今でも沖縄では、“フーチバー”と呼ばれて親しまれ、風邪をひいた時には雑炊に入れて食べるそうです。
ヨモギは薬酒、薬草風呂、化粧品などにも使用されています。陰干ししたヨモギと砂糖を焼酎に1ヶ月漬ければ、咳止め、痰切り、止血の効果があるとされるヨモギ酒ができます。汗かぶれやかゆみには、ヨモギを煮出し、それを入浴剤として風呂に入れたり肌に塗ると、かゆみが和らぎます。最近はヨモギの抗炎症作用、鎮静作用に目をつけ、スキンケア製品として売り出されているほどです。
ファイトケミカルとして知られている野菜としてブロッコリーや小松菜、ほうれんそうなどがよく知られていますが、ヨモギはブロッコリー、小松菜、ほうれんそうよりもカリウムが多く、ミネラルも豊富で、β-カロテンもずば抜けて多いスーパーフードです。また食物繊維もこれらより全然多く、調べれば調べるほどすごい植物であることがわかります。今さらながら厄介者扱いしていたヨモギに謝りたい心境です。あの春らしい爽やかな香り成分はシネオール、αツヨンなどですが、シネオールは高ぶった神経を鎮静化しイライラ解消、安眠作用、利尿作用があります。
食べるだけでなく、肌につけても、香りをかいでも万能選手。まさに“ヨモギ様、参りました”です。
そこで、このヨモギを使って春らしい草餅と、入浴剤を作ってみることにしました。
こんなにありがたい植物なのに、入手は簡単です。その辺の公園や土手、川辺などに群生しています。
実はヨモギの薬効成分は5月~7月が最も高いと言われています。でもその頃になるとアクが強くなるので、草餅にするなら春先までの草の方ががおいしくいただけます。入浴剤や化粧水にするのであれば薬効成分が強くなった頃に摘むと良いでしょう。今頃だと枯草の中に埋まっていることも多いので、草をかき分けて探すと割と簡単に見つかります。ただし口に入れるものなので、くれぐれもワンちゃんの好きな場所でないところで採集してください。
なお、キク科の植物なので、アレルギーのある方は注意してください。
採集してきた生ヨモギを、さっそく草餅にしてみます。ベースになる餅にはいろいろな作り方がありますが、今回は最も簡単な、だんご粉を使ってこねて蒸すだけの作り方をご紹介します。
1. 生ヨモギはよく洗い、茎の柔らかい先端部分を手でちぎる。硬い部分は入浴剤にできるので捨てずに取っておく。
2. 鍋にたっぷりの湯を沸かして塩少々を入れ、ヨモギを入れて1分程度ゆで、ザルにあけてから水を張ったボウルに入れる。
3. 1時間ぐらいしたら、1度水を取り替えてさらに1時間程度置いてアクを抜く。
4. 3を手でぎゅっと絞り、包丁でザクザクと切ってから、フードプロセッサーにかけてみじん切りにする。ここであまり細かくしすぎると風味が飛んでしまうので、みじん切り程度に止めるのがコツ。
5. ボウルにだんご粉を入れ、そこに4を入れる。水を分量の1/3程度注いでこねる。
6. 5に少しずつ水を注ぎながら耳たぶぐらいの硬さになるまでこねる。
7. 6を一口大に丸め、手のひらで少しつぶして、真ん中あたりを指の腹で押して(iphoneの指紋認証みたいに)へこませる。
8. 蒸し器に蒸し布を敷き、15分程度蒸してできあがり。
9. 器に盛り、黒蜜ときな粉をかけていただく。 さらにオリーブオイルを追いがけしても美味。
春先のヨモギは、アクも少なく柔らかいので、ゆですぎないように注意してください。ゆですぎるとせっかくの香りや栄養成分が飛んでしまいます。また今回はまだ出始めのヨモギなので塩でゆでていますが、5月以降に採集する場合はアクが強くなってくるので、生ヨモギ100gにつき塩ではなく重曹を2g程度入れて2分弱ぐらいゆでるようにしてください。また、生地を作る際に入れる砂糖は、生地が硬くなるのを防ぐ効果があります。こねる際に水が多すぎるとベタベタして扱いにくくなるので、硬めにこねることもポイントの一つです。
餅を作ったら、あんこを中に入れて蒸せば草大福になります。これも美味です。
作り方の最後にも書いていますが、以前話題になった”大福にオリーブオイルをかけて食べるとおいしい”を実践してみたところ、確かにおいしいです。エキストラバージンオリーブオイルなら、油っぽくなく、実に軽やかで、ヨモギの爽やかさが余計引き立つ感じがしました。ぜひ試してみてください。
硬い部分は干して入浴剤を作ることができます。洗って3日間ぐらい干し、あとはキッチンペーパーなどに包んで30分ぐらい煮出すだけです。面倒であれば包まなくてもOKです。煮出したら煮汁ごとザルにあげてこせばいいだけです。
煮出したエキスは浴槽に入れてもよし、化粧水代わりにしてもよしです。ただ肌につけるときはアレルギーチェックをしてからにしましょう。ちなみに私は全然大丈夫でした。日焼け後のケアにも良いそうです。
身近にあるスーパーファイトケミカルのヨモギ。見つけたらお宝発見!と喜んでください。摘んだら干しておけばいつでも使えますし、草餅にするならゆでて冷凍しておけば保存も効きます。
ヨモギを草餅にするのは、ヨモギの生命力の強さが縁起が良い、ということでもあるそうです。草餅、とてもおいしかった。ごちそうさまでした。
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。