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「おうちごはん」もすっかり日常に定着した昨今ですが、外食の出費が減った分、食器や調理器具などへの注目が高まっていますね。
編集部では、『器』に注目してみました。
Googleトレンドで、“有田焼(青)”,“九谷焼(赤)”,“小石原焼(黄)”,“高取焼(緑)”を調べてみたところ以下のようになっています。
小石原焼・高取焼は、名前を聞いてもピンとこない方も多いかもしれませんが、昨今人気が高まってきています。その魅力は、天空の窯郷と呼ばれる福岡県東峰村とそこに集まった50件を超える窯元にあります。
窯元が集まる東峰村小石原地区は九州の内陸に位置し、標高1,000m級の山間部で、豊かな自然に囲まれた日本の原風景がそこにあります。その結果、陶器の材料となる土に恵まれ、同時に陶器を焼くための“登り窯”の燃料となる木材を豊富に活用でき、その結果、地場産業として焼き物を生業とする一大集落として、職人が腕を競いながら今日へと発展してきた、まさに天空の窯郷。
小石原焼は普段使いの器として発展し、「とびかんな」など、土の風合いを生かした落ち着いた趣のある作風は、主張し過ぎず、おごそかに料理の見た目を引き立ててくれます。
そういえば、昨今人気のカラーはアースカラー。SDGsが意識される社会において、熟練の職人の手から編み出される優しい彩りと、どこかひなびた郷愁を感じる風合いに時代が追いついたかのよう。結果として、人々の注目が集まり始めているのも当然かもしれませんね。
そんな小石原焼の窯郷、東峰村に編集部は向かいました。
小石原地区にある代表的な高取焼の窯元、鬼丸雪山窯元。
高取焼は、生活食器ではなく茶器の制作に始まったことが原点だそうで、茶の湯の中でも、ことに小堀遠州で重んじられた美意識、「綺麗さび」(千利休のわびを基盤に、より均整と洗練を目指し、王朝文化の要素を取り入れる)による、7色の釉薬を用いた薄づくりの技法が発達し、「遠州高取」とも言われています。
そう聞くと、素人の編集部でもどこか厳かで品のよい落ち着いた印象が伝わって、、、いえ、編集部流の率直な感想としては、シブい!かっこいい!おしゃれ~!です。
鬼丸雪山窯元といえば、かつてのG20で世界の要人へ向けて贈答品に用いられた『香カップ』を発明されたすご~い陶芸家、鬼丸碧山氏がいます。東京からお買い物にいった編集部ですが、碧山氏に快くお話を伺うことができました。
通していただいたお部屋は碧山氏のオーディオルーム、のような打合せ部屋。
スピーカーがあちらこちらに鎮座しており、中でも目を引いたのは、こちらの陶器のスピーカー「BREATH(ブレス)」。こちらは碧山氏の発明品で、世界的にみても最高品質のスピーカーとして有名です。
小石原高取の土は絹のようにきめ細かく、そして鉄分も多いとのことで、スピーカーのボディに利用すると特に高音の伸びが良く、美しい音色となって反映されるそう。
実際に鳴らしていただくと、サクソフォンの切り裂くようなストレートな音色が、あたかも目の前でライブが行われているように響きます。特に女性シンガーの澄み切ったヴォーカルの再現性は、あまりに美しくて鳥肌が立つのを覚えました。
音の立体感と中高音の再現性は、経験したことのないような美しさ。これも小石原の土の特性と碧山氏の技術が融合した結果なのでしょう。なにより見た目も美しいですよね。
完全受注生産のBREATHスピーカーは、音だけでなくお値段も世界三大スピーカーに負けておりませんでした。
BREATHスピーカーは無理だけれど、工房の技を実感できる逸品『香カップ』をお土産に購入。こちらのカップの魅力も技法だけでなく、特別な“土”と土づくりにあるそうです。恵まれた土を、よりきめ細かく粘りの強い粘土へと時間と行程を経て熟成させ、グラスのように薄いカップが出来上がります。土から生まれる焼き物の素地が、科学的にも本来の味をよりまろやかに美味しくしてくれるとのこと。
ご厚意で、コーヒーの飲み比べを器の違いで試させていただきました。香カップでいただくと、確かに香りの立ち方が違い、より豊かな香りを引き立ててくれることがわかります。加えて味もより柔らかく感じました。
鬼丸雪山窯元の秘密を一部見学させていただきました。
案内してくれたのは、お弟子さんの西鶴園(にしつるぞの)和也さん。
最近エレキギターにハマっているとのこと。おかげで一気に打ち解けちゃいました。
いろいろとお話しいただきましたが(ギターの)、難しすぎて(焼き物の話は)忘れてしまった。。。陶芸家って、ほんと工程が多すぎて大変なんですね。
こちらは材料となる小石原の土。
この機械で土をきめ細かくしてゆきます。この後の行程もたくさんあるのですが割愛。
こちらは香カップの絵付け前
土づくりから始まり、数々の工程を経て一つの作品が出来上がります。この手間を考えると、完成した作品のお値段・価値にも納得です。
小石原焼の特徴ある模様の一つ、「とびかんな」。
鶴見窯元の2代目、和田義弘氏に伝統の技をお見せいただくことができました。
こちらの窯元も突然の訪問にもかかわらず、快くお引き受けいただき感無量。
早速見せていただきました。
「とびかんな(飛び鉋)」の名前の由来は、こちらの模様付の道具にあるようですね。
焼く前の器に、鉋のような工具をつかって、連続した削り目をつけていきます。鉋(かんな)といっても木を削る工具ではなく、古い時計に使われていた板ばねゼンマイを加工し、使用しているとのこと。
ロクロをまわしながら、板ばねの反発を利用して、子気味よく模様を刻んでゆきます。下の動画をご覧いただくとよくわかりますよ。
和田さんは2017年の九州北部豪雨で被災され、家が土砂で流されるだけでなく、窯元の命綱ともいえる窯が、雷による火災で焼失されたそうです。37歳の若さで茫然自失の惨事からはや5年。大変な努力でここまで復旧されました。もちろん今も様々な困難が残っておられるのでしょうが、最後まで明るく丁寧にお話しいただきました。マジで応援したい!絶対にまたお買い物に参りますっ!
大きな災害の爪痕は、今もなお東峰村に至る道すがらもあちらこちらに残っております。しかし、そんな困難を梅雨一つ見せず、職人の皆さん、お店のスタッフさん、皆さん明るく気さくに接していただき、人柄の魅力もプラスされて益々高取焼・小石原焼のファンになってしまいます。
「近くに素敵な温泉もあるので、次回ご案内しますね。」
そうおっしゃって下さった鬼丸碧山氏の言葉を鵜呑みにして、次の訪問を楽しみに帰るのでした。
【取材協力】
■高取焼鬼丸雪山・碧山窯元
住所:〒838-1601 福岡県朝倉郡東峰村大字小石原962-1
TEL:0946-74-2810
営業日:年中無休
HP:http://takatoriyaki.com/ja/
・東京店
住所:〒110-0005 東京都台東区上野5-9-20 2k540 M-3
TEL:03-6806-0256
営業時間:11:00〜19:00
定休日:水曜
■鶴見窯元・和田義弘
住所:〒838-1602 福岡県朝倉郡東峰村大字小石原鼓2514-3
TEL:0946-74-2552
営業時間:9:00〜17:00
休業日:不定休
HP:https://www.tsurumigama.com/
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。