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食卓まわり、キッチンまわりのグッズを企画し、商品化のメドをほうぼうにお伺いするコーナー!今回は、巣ごもり生活でも食卓を楽しく彩ろう!というわけでこんなピックを考えてみました。
名付けて「ピクト・ピック」!ほぼ語呂からのアイデアだと丸わかりですが、勢いで作ってみます。
※ピクトとは「ピクトグラム」の略。公共空間で使われる絵文字や視覚記号のこと。「非常口」マークやトイレの男女記号でおなじみですね。
今回から3Dツールどんどん使っていくよ!
語呂だけからの発案というわけではありません。私の頭の中にはこんな情景が広がっていたのです。
そう、ピクトさんたちが思い思いに料理の上を駆け回るさまを…うふふ…うふふ…
ちなみに水泳、野球のピクトなどがラフ画にありますが、当初あたためていたアイデア、実は去年のオリンピックに合わせて「食卓の上で繰り広げられるスポーツの祭典、その名もまさにオリン・ピック!」というのをブチ上げようと思っていたのですが、延期になったし、そもそもオリンの名前使えないし…ブツブツ。
そんなことはさておき。
ピクト+ピックという、非常にかっちりしたものを作ろうというわけですので、今回、もともと家にある3Dプリンタを導入することにしました。
やっと最近、タブレットPCで3Dデータを作り、3Dプリンタで出力することに慣れてきたのです。これ前回の記事で駆使したかったわ…(前回の微妙なティーストレーナーの記事はこちら!)
さて、今回使うソフトはiPad用の「Shapr」という3D CADアプリ。工業用部品などの直線的な設計に向いているのですが、このネタを作るために初めてダウンロードし、悪戦苦闘の末、なんとかデータを作ってみました。「必要」は「上達」の母だねまったく。
「もしかしてプラ板とかで簡単にできたんじゃ…」という心の声もないわけじゃあないですが、結局面倒な仕上げとかで後悔することも多いので、最後までこのサイバーチックな3D空間を飛び回ることにしました。
できるだけ数多く作ろうと思ったんで、結局非常に時間がかかりました。プラ板でもよかったかもしんない。
さてこのデータを、プリンタ用ソフトで変換して、多少手を加えます。サポートという支え棒を付けて、造形物がプリントの途中で落っこちたり、変形してしまわないようにします。
「転倒しようとしてびっくりしている人」が、多数の柱で支えられていますね。これで彼も安心だ。こういうデータにして、さあプリンタの出番です、ドン。
白い恋ピクト(恋人)たち…
光造形タイプのプリンタです。このトレイに注いであるUVレジンにデータどおりの光を放って、上部の金属板に造形物を付着させる仕組みです。
ではピクトピックのデータを入れてみましょう。ドン。
真ん中下の部分、「7:25」と出てますね。ピックのサイズは、針を入れてだいたい8cmほどにしたのですが、1cmの高さの出力は約1時間かかるので、できあがるまで7時間半。ええい、今日は寝てしまおうか。
失敗したら数時間がパァなので、頑張って待って、数時間後確認したらプリンタ内はこうなっていました。
おお、まだほぼ棒しか見えん(笑)でもなんとか成功しそうなので、本当に今日は寝ます。グゥ。
翌朝、できあがった造形物を洗剤で洗います(水洗いできるレジンなので大丈夫)。
現れたのが彼らピクトピックたちだ!
どうよこの白樺林のような林立っぷり。どこからか「白い恋人たち」のテーマが流れてきました。フランシス・レイのほうです。
これを乾かしたりなんだり色塗ったりしてできたのが、こちら!
なんだこの地味な人たちは…
非常口に駆け込む人、バンザイをする人、歩きスマホ、男と女…実に悲喜こもごも。まさに人生。
彼らによって、人生の重要な部分を占める「食事」というステージ、その上でも人間模様が繰り広げられていくのです!とか言ってないで早速使ってみよう。
精一杯パーティ風の食事を整えました。しかしパーティピック刺すような食事がよくわかんないので、それっぽいのをお惣菜コーナーなどで調達してきました。3密を避け、今日はひとりでパーティ気分!でも寂しくない、なぜなら彼らがいるから!!
ピックの役目を忘れ、互いに寄り添う男と女。その光景にショックを受け、それぞれの立ち位置で悲しみを表現する方々。
溢れるほどのマヨに埋もれたエビマヨ。そこを危なげもなく歩きスマホする人。出くわしてびっくりする人。注意して駆け寄ろうとする非常人(非常口の人)。もういっそマヨで泳いじゃう人。不条理劇のようです。
オリーブの盛り合わせには「落石注意」。でも落石があっても大丈夫!「工事中の人」がなんとかしてくれる!(というか私が食う!)
チョコロールケーキを地面に見立てたフィールドでは今まさに幅跳びの記録が出ようとしております…ピック新記録なるか!?
…というふうにですね。楽しめるんじゃないかなと。
しかし色数を本物のピクトに寄せたからか、絵面が少々地味でしたね。終始ほぼ黒いピクトが皿の上を踊っていて、パーティというよりむしろシャーロックホームズの「踊る人形」を思い出しましたよ(人形風の暗号から殺人事件に発展する話)。
慣れぬ3Dモデリングでけっこう時間かかっちゃって、本当はもっと種類を増やしたいところですが(最後の幅跳びなんかも、もっとコマ数稼ぎたかった…!)今回はここまで!
集まれるようになったら、家族で、友人とで盛り上がるもよし。たとえ一人でも、それぞれのドラマを思い浮かべながら配置すれば、それはそれで楽しいかと思います、ええ、きっと。
まあ、撮影風景はこんな感じだったけどな。
※今回、記事用にUVレジンで制作し、そのまま食品に使用しておりますが、食品向けの材料というわけではないので、自己責任でやっております。どうぞよろしくご了承のほどお願いいたします。
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。
また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。