キッチングッズを妄想したらすぐに作ってみて商品化オファーをお待ちするコーナー!
梅雨も明けて夏本番、今回はこんな涼しげなアイテムを考えてみました。アイテムというか、スイーツと容器とで合わせ技一本、ってところですかね。
競泳プールを模した容器でお出しする「プール・ゼリー」を考えたのでございます。
まずはいつもどおり、制作イメージのラフスケッチです。
途切れてますが「ブルーハワイゼリー」と書いてあります。どこからどう見ても夏のスイーツですね。耳をすませばプールサイドの喧騒が聞こえてくるようです。ツーンと鼻をくすぐる塩素の匂いも……ちなみにゼリーに塩素は入れません、ご安心ください。
さて上のラフ画は割と完成を目指して描いているので、このとおりに3D CADソフトで容器を設計してしまいましょう。
そういえばプールをここまで細かく観察したことがない
3Dプリンタの最大プリントサイズに合わせ、約10cm×6cmの大きさで設計していきます。
スタート台は6つは欲しいところですが、横幅が6cm……ってことはけっこう狭い……結局、1つあたり5mm弱の台をちまちまと立てることに。洗いにくそうな容器だ!
底面に引いてある線も、あらかじめ彫り込んで、と。そういえばこんな線あったな……どんな引き方だっけ……どんな意味があったんだろ……と、今さら検索しながら進めていきます。
1つあたり5mm幅のスタート台ですが、よく見ると前方に傾斜がついてるんですね。再現できるかわかりませんが、つけましょう傾斜。
イメージ通りの3Dデータができたので、3Dプリンタで出力していきます。3時間ほどかけて、印刷面にプールが逆さにくっついて上がってきました!プールの水揚げ作業とは、珍しい光景だ。
おお、ハシゴもちゃんとプリントされてます!すっごく深くてお風呂みたいなプールになったけど、ゼリー容器としては最低これくらいの容量は欲しいところなのでオールOK。
ここまではうまくいきました。次は色を塗っていきますが、ここから、プールらしくするための長い道のりが待っていました。
一生味わうことのないであろう、プール設営する気分をあなたに
プールらしくするため、おなじみのプール色で塗っていきます。記事用にアクリル絵の具と耐水ニスで塗っちゃいますが、通常は食用に適さないのでそこはよろしく。
あとは水底のラインと、スタート台の番号とハシゴを塗ってと。
水底のラインは、造形時に1mm下げて引いていたのでそこをなぞればいいな、と軽く考えていたんですが、プリントしたらところどころ目がつまっちゃって……えへへ。結局細いマステでいちいちマスキングして塗りましたとさ。ご苦労なことです。
ここで1日かかってしまった……
しかし、塗れば塗るほど、本当にプールを施工しているような気分になりますな。レジン造形のザラついたテクスチャが、まるでプールのコンクリ壁みたいな風合い。ああ、この感じ。シーズン前にプール掃除させられた、あの夏が再び。
さてプールができあがったら、そこにブルーハワイシロップで色付けしたゼラチンを流し込み、冷蔵庫で固めます。
その間に、とある細工を準備。
マシュマロに粉砂糖を混ぜて揉み込み、マシュマロフォンダンを作ります。人生初のマシュマロフォンダン、さて何になるのかな?
さあ、できあがったのでおやつにしましょう!
脳内に塩素の香りが満ちていく……
25mプールに、ゼリーがなみなみと!これこれ、これが見たかったのよ。
すっかりプールと縁遠くなった私ですが、この光景を見たら鼻腔の奥に塩素がふわっと香った気がしました。そういえばプールの時間に男子がよく塩素タブレット拾って喜んでたな……
そういえば、こちらの壁にもラインが引いてありましたよね。後から気づいて塗り足しました。
あと、どうも落ち着かないプールだなーとモヤモヤしてたんですが、その理由が今わかりました。プールサイドに1段低い段を作るのを忘れてました。だからなんか落ちたら終わりっぽいなと思ってたんだこのプール。
スタート台の傾斜も再現されてる!どうです、この風景。ほら、あなたの瞼には大滝詠一「A LONG VACATION」のレコードジャケットが見えているはず……
とはいえ、このままでは少し寂しいので、作っておいたマシュマロフォンダンで、あるものをかたどって浮かべてみましょう。またぐっと「あの夏」っぽくなるはず。
ビート板を2色作って置いてみました。ほら、あの夏の水泳大会のほのぼの部門「ビート板拾い競争」が思い浮かぶだろう……(うちの学校にはあった)。
プールの水をこうやってすくう、不思議な体験!
「巨人だ!」「いや海坊主のほうだ!」
ぜひゴーグルとスイミングキャップでもかぶってお召し上がりください。
他、抹茶ゼリーを入れてみたら、プール授業のとっくに終わった秋の雰囲気が再現されました。男子校の生徒が単位足りなくて、こんなプールで冬まで泳いでいたのを思い出します。
というわけで容器と中身で合わせ技の「競泳プール・ゼリー」。夏には夏の、秋には秋の味わいで、ノスタルジックにいただくのはどうでしょうか。
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。
また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
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