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2020年7月9日

ウェディングケーキ風包丁立て /妄想工作キッチン

食まわり、キッチンまわりのグッズを企画していくコーナー!

前回はいきなり食育、しかも「ヒラメかカレイか見分ける」という、色数の極めて少ない記事をお見舞いしましたが、今回は少し華やかに、キッチングッズを作ってみますよ。

名付けて「ウェディングケーキ風包丁立て」!

「ウェディングケーキ風包丁立て」とは

実は私、自分の結婚パーティのときは親族のみのお食事会で、ウェディングケーキはなかったのです。それはいいんですが、ケーキ入刀って、単にナイフをスッとケーキに刺し入れるだけなのに、なんだか妙にうやうやしく厳かじゃないですか。それが面白い。その入刀だけ体験してみたかったんですよね。そんな私的な夢をかなえつつ、経験ある皆様にはあのメモリアルな日を永遠に思い出せる、そんなグッズになると思うのです。

ではその壮大な企画のラフ絵を見ていただきましょう、ドン!

ウェディングケーキ風包丁立て

1本のナイフを、2人で協力してケーキに入刀…ならぬ、何本もの包丁をボンボン放り込んでサクサク炊事をする、荒々しいケーキになることでしょうな。その前に果たしてこれが実現するのか?だって、デカいよきっと。

ぶちあげておきながら非常に不安なのですが、とにかく進めていきましょう。

ウェディングケーキ風包丁立て

ケーキ本体部分の制作がとにかく不安なので、まずはパーツ作りからスタート。アクセサリー制作用のイチゴのシリコン型を買って、家にあった樹脂粘土をギュウギュウ詰めてポコポコ複製していきます。

さすがは市販の型!色塗ったらまるでイチゴ!俄然、楽しくなってきました。成果がすぐわかる作業って、いいよね。余った粘土を丸めてブルーベリーも量産。

さて、面倒な構造計算の時間ですよ。自宅の包丁を元に、厚紙をまず適当な大きさに切って貼って、どう包丁を立てられるか、検討していきます。最初のラフに描いた穴の位置だと、ちょっと不安定かもしれない…などなど。

あと、これは放射状に包丁が刺さるという特殊な形状。なので倒しすぎると包丁同士がぶつかる心配も。あまりケーキの奥行きを深くしても、置いたとき邪魔だし。今までこういう包丁立て、出てないはずだわこりゃ。

寸法などだいたい決まったので、木材を買ってきて土台を作ります。デカい円筒を作るには、細い板をつなげて樽のようにすればいいかなと。10cm長の板を何十本も切り出していきます。少しでも薄い板を選んでよかった…

マステで板を仮組みしたら包丁入れる穴を決めていき、解体して穴を開けていきます。

最終的な形が決まったら、ホットボンドで組んでいきます。すぐ固まってくれるのがありがたい!ボンドが糸引くのがちょっと面倒だけど。

トロイの木馬みたいな途中経過。

上段に乗せるオーナメントは、石粉粘土で。立体物作れる自信がないので、クッキーに絵を描いた設定にいたしました。ご了承ください。

土台はできた!ここから楽しい楽しい仕上げに入ります。外側のクリームは、まずは軽量粘土を塗りたくって、でこぼこ隠しのために指で模様をつけます。頭いい!

イチゴなどもホットボンドで。さくさく進む!そして見た目も楽しくなってきた!

飾りクリームは、スイーツデコ用のやわらかいホイップ粘土で。これ本物そっくりなんですよ。何度なめそうになったことか。スイーツデコ、あまりやったことないけど、これはハマる。いろんなものに絞りたい。

しかしここまで本格的に偽ケーキ作ってると、「私なにやってんだ…」という思いをぬぐいきれません。もう夜中です。私、なにやってんだ…なんだこれ…目の前に、ウ、ウェディングケーキが現れたぞ!

じゃーん!なんとか想定内のものができあがりました!これから存分に包丁立てていきたいと思います!

ザ・場違い。そんな日常感あふれるとこにウェディングケーキ様を置いてしまうなんて(壁のフック、外れなかったので、見えないってことにしてください)。

入刀しまくるぞ〜!!(見なかったことにしてください)

スッ。

おお…(極めて静かな感動が私を包む)

っというか本来なら…

本来なら、こう入刀するわけですよ。

家人出張のため、自分の手を合成してお送りします。共同作業でございます!ってやつだ。

どんどん入刀しよう!ペティナイフは短いから、3段目にね。

家の包丁、全部入りました。

あれ?こうやって立てて使うはずなのに、なんだろう、この不穏な感じ

ってそりゃそうですよね。ウェディングケーキに何本も包丁刺さってる、ってたぶんこれ人類が初めて見る光景ではないだろうか。えらいもん生み出してもうた。

というわけで、静的な状態ではホラー極まりないものとなりましたが、動的に「入刀」という面では楽しめるような、そんな包丁立てとなりました。どこかチャレンジャーなメーカーさん、ぜひ商品化してください!


乙幡啓子

1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所

企画:オリーブノート編集部
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