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オリーブオイル発祥の地は地中海沿岸、すでに紀元前3500年前には存在したらしいですね。(注釈:1)しかし日本では、食用油っていつごろから使われてたのかしら…?あまり日本食に「油」を使うイメージって、ないなあ…そう思い、調べてみました。
魚や獣から取る動物性油脂は早くから存在したようですが、植物性の油脂は、日本書紀の記述にハシバミ(注釈:2)から搾油したとあり、3〜4世紀ごろから使われ始めていた様子。縄文時代にもゴマがすでに伝わっていて、奈良時代にゴマ油の搾油技術も伝来していたようです。
しかし大変な労力をかけて取れる植物油は、原料からしたらほんの少し。なのでなかなか食用油には回らず、主に灯火用に使われていたとのこと。庶民に至っては、灯火用にもなかなか高くて使えず、日本では割と簡単に取れる魚油(注釈:3)などでしのいでいたようです。
うーん、ここまで読んでも、油料理が出てきませんね。どうやら、日本は本当に古来から油になじみのない国で、世界的にも珍しい食文化らしいですよ。その反面、どう出汁をとるかなど、うまみの追求が発達したということですかね。
日本で油を本格的に料理に使うようになったのは、やっと室町時代になってから。僧侶たちが中国へ留学した際に、油料理の文化を持ち帰ったそうです。確かに、中国料理は油をたっぷり、そして上手に使いますからね。
お寺での清廉な食事…お粥とたくあん、汁物、質素なおかずのみで修行するにあたり、力をつけるために欠かせないものとなったのが、油を使った炒め物や揚げ物というわけです。
かといって、いつもそうした美味しい油料理を食べていたわけでなく、たとえば「揚げ物」を「上物」と書いた文献もあるそうなので、やはり大変なご馳走だったんだろうな、ということはわかります。
その後、日本でも原料の菜種などの生産が増し、植物油の利用が広まります。天ぷらなどの庶民の味が出現してくるのは江戸時代、元禄文化以後からだそうで、文化の繚乱の時期とも一致します。
日本においては本来、貴重なものだった食用油。その頃の先人の苦労を思いつつ、今日も美味しく適度に油を取ることにいたしましょう。
あ、ちなみに4コマに出てくる緑色の彼らは、オリーブから生まれた折井さんと伊武さん。ってことにしておいてください。
注釈1:紀元前3500年前のオリーブオイルとは古代ギリシャ時代、クレタ島の発祥だといわれておりオリーブオイルを貯蔵するためのアンフォラが発見されたのがこの時期である。
注釈2:ハシバミとはブナ目カバノキ科ハシバミ属に分類される被子植物の一種で、落葉低木。
注釈3:魚油とは魚から採取される脂肪油で、通常はイワシ・サンマなど大量に捕獲される魚類を原料とする。
参考:
一般社団法人 日本植物油協会
Wikipedia「植物油」
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。