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永久に続くかと思われた猛暑もいつしかやわらぎ、日陰の涼しさに秋の気配を感じる今日このごろです。
気温差とともに、秋を感じさせるのが「食欲」。じわじわと食欲が増している気がしませんか。私はグングン増しておりますよ。さすが名前に違わず、食欲の秋到来。濃いもの、アブラののったものをガツッといただきたい!
というわけでそんな季節にぴったりな「アブラ」…「油」と「脂」の違いを、今回はお届けしたいと思います。
「油」+「脂」=「油脂」。両方「アブラ」と読むこの言葉、そういえば「油」と「脂」ってどう違うんだろう?なんとなく、植物性と動物性の違いかな?と思っている、そこのあなた。正解です。ほぼ正解。
「油」は主に「植物性」の油を指します。オリーブオイル、サラダオイル、ごま油、などなど。またそれが「常温で液体である」ということも油の条件です。そもそも「油」という字の部首は水を表す「さんずい」ですし。
そしていっぽうの「脂」。これはもうおわかりですね。主に「動物性」の油脂を指します。牛脂、ラード、また乳製品などですね。そして「常温で固体である」というのが条件。漢字の部首も「にくづき」であるからして。
つまり、
油…常温で液体のアブラ
脂…常温で固体のアブラ
と覚えましょう。
※正確には、常温で液体のものを「脂肪油」、固体のものを「脂肪」と呼び分けるようです。少しややこしい。
さて先ほど「ほぼ正解」や「主に植物性」「主に動物性」など、何か喉につかえているような書き方をしたのは、当然ここに例外が存在するから。例外のアブラとは、何だかわかりますか?
魚からとる油ってありますよね。魚油。イワシやニシン、サンマなどから採れるアブラですが、これらも動物ではあるし、「この焼き魚、脂が乗ってる!」などと書くので当然「脂」のほう?!…かと思いきや、「常温で液体」の条件が適用されるので、「油」のほうに入るそうです。
一方、おなじみココナッツオイルやカカオバターなどは「常温で固体」なので、植物性ではありますが「脂」になるそう。確かに、常温でべっとりと固体のままだと「脂」のイメージのほうが強いかもしれません。
ちなみに少しだけ化学的な話をしますと、植物油や魚油など「油」は不飽和脂肪酸が多く、動物性の「脂」は飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸は常温で液体、つまり低い温度でも液体であるため、エネルギーとして消化されやすく、体内にたまりにくいんだそう。だからサラッと料理に使うのは主に「油」なんですね。
一方の動物性「脂」は融点の高い飽和脂肪酸が多く含まれ、つまりそれが常温では固体のままなため、体内に蓄積されやすいわけです。コクがあって美味しい「脂」ですが、そんなわけで摂り過ぎには特に注意したいアブラですね。
こんなふうに「油」と「脂」の違いを簡単に説明してきましたが、じゃあ我々が「顔がアブラっぽーい」と嘆くときのアブラはどっち?もうおわかりですね。人間の場合も「脂」です。
脂汗まみれの夏を乗り切ったあとは、ぜひ脂の乗った秋の味覚を満喫することにいたしましょう。
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。