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天ぷらや唐揚げを揚げるとき、なんだか胸焼けして食欲が湧いてこないという経験はありますか?これには理由があります。
一般的に家庭で揚げ物をするときには、サラダ油などの植物油を使われる方が多いかと思いますが、一度使ったオイルを繰り返し加熱使用すると、オイルはどんどん劣化がすすみ、発煙しやすくなるのです。
植物油の発煙点は200℃~230℃といわれており、一般的な揚げ物は170℃~180℃で調理します。しかし、繰り返し使ったオイルでは、油の劣化によって発煙点がさがり、発煙しやすくなるのです。このとき煙に交じって発生したアクロレインといわれる物質を吸ってしまい、気分が悪くなったり、胸焼けのような感覚が起こるのです。
しかし、エキストラバージンオリーブオイルは酸化に強く、発煙点が高い状態が長期間キープされるため、サラダ油などのオイルよりも比較的複数回の揚げ物をおこなっても劣化が少ないという特徴があります。加えて、油自体が揚げ物の内部まで浸透しにくいため、胃もたれなどになりにくい油といえます。
ちなみに、イタリアのフリットがサクサクしているのは、オリーブオイルの発煙点が高く、190℃前後の高温で揚げるために、水分が飛びやすく、さっくりおいしく仕上がるのです。
少し科学的な話しになりますが、オリーブオイルが健康に良いとされるのには理由があります。オリーブオイルの歴史は長く、経験的に語られてきた効果について、昨今では科学的な解明が進んでいます。
それでは、オリーブオイルとその他の食用に使われる種子油(サラダ油など)を比較してみましょう。
●エキストラバージンオリーブオイル
低温圧搾で抽出
●種子油
科学的な溶剤(化成ソーダや塩酸など)で抽出し、精製(ほとんどの種子油)
エキストラバージンオリーブオイルは、科学的に化合させる工程がなく、自然な製造工程のみで作られています。逆に科学的な化合を行うと、社会的に問題になっているトランス脂肪酸が発生します。
●オリーブオイル:一価不飽和脂肪酸
科学的な二重結合は一価なので一つ。その結果酸価安定度が高い。
不飽和脂肪酸の構造がn-9(オメガ9ともいわれています)
※科学的構造の二重結合の場所を示す
n-9といわれる系列にあたり、体の組織を作るオレイン酸を多く含む。
オレイン酸は、善玉コレステロールを減少させずに、悪玉コレステロールだけを減らす効果があるといわれています。
●多くの種子油:多価不飽和脂肪酸
科学的な二重結合が多価なので、たくさんあり不安定で、いろいろな分子と結合しやすく、酸化に弱い。
不飽和脂肪酸の構造
→n-3(オメガ3ともいわれています):必須脂肪酸(αリノレン酸、DHAなど)
→n-6(オメガ6ともいわれています):必須脂肪酸(リノール酸など)
※必須脂肪酸とは人体で作ることができないが、代謝に欠くことのできない脂肪酸
※n-6 オメガ6系、リノール酸の過剰摂取に注意
日本人の場合、一般的な食生活で肉や魚などから十分に補うことができていますが、オメガ6系脂肪酸の代表が「リノール酸」です。紅花油やヒマワリ油などに多く含まれており、オメガ6系脂肪酸を過剰摂取すると、アトピーなどアレルギーや、血栓性動脈硬化症(心筋梗塞や脳梗塞)の原因の一つになることがわかっています。
揚げ物は、サラダ油など種子を使った油を使うことが多くなりがちですが、様々な形で健康にも悪影響があるようです。
毎日積み重ねて、健康に直結する食卓の料理です。美味しくいただくだけでなく、生活習慣病の予防にも効果が期待されるオレイン酸がたっぷり入ったエキストラバージンオリーブオイルを選びたいものです。
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。