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去年の秋、実家にある渋柿の有効活用として自作の「柿酢」を作った。「酢」はそもそも発酵食品で、およそ果実であれば酢にならないものはないほど、実は簡単にできてしまうと聞いていたからである。
柿は渋柿、甘柿、熟しすぎた柿など、何でも構わない。まずは柿酢を作り、手前味噌ならぬ「手前酢」を美味しくいただこうと考えた。まずは柿酢(果実酢)の作り方をご紹介。
もう柿の時期は過ぎてしまったので今年の秋まで柿酢は作れないが、今回は去年の秋作った「柿酢」の手順をご紹介。
今の時期他の果物で作るのなら、リンゴやキウイ、イチゴ、メロン、パイナップルなどの果物でも同じようにできる。
柿以外の果物で作る場合は、洗ってから細かく刻むかすりおろして瓶に入れ、ドライイーストを1gほど発酵のスターターとして加えるとスムーズに発酵する。他の果物で作っても大体、柿と同じ経過をたどる。最初はアルコール臭、次に酢臭になるので、匂いと味見で「酢になったな」と思ったら出来上がりだ。
自作酢は酢酸菌が生きているいわば「生酢」。出来上がっても発酵は続いているので、瓶に詰める時はふたを完全にしめずに空気抜きを作っておく。できた酢はドリンクとしてもそのまま飲めるほど甘味があり、酸味が柔らかい。
少し時間がかかるのが玉にキズだが、そこは発酵。少しロハスな気分でトライしてほしい。「酢」は簡単に自作できることがわかると、「酢道」にはまることうけあい。自作酢で作ったドレッシングなんて夢のようだ。
【材料】
皮の表面で白く見えるのが酵母
【作り方】
1.入手した柿は洗わずに、軽くほこりを取り、ヘタを取る。傷んだところがあれば包丁で削っておく。
※洗わないのは、皮の表面に天然の酵母がついているからで、この助けを借りて酢を作るため。ただし、どうしても洗いたい場合は軽くすすぐ程度で。
※キウイ、メロン、パイナップルの場合は皮をむき一口大に切る。リンゴのは無農薬のものなら皮付きのままで可。気になる人はよく洗っておこう。
2.ガラス瓶に1をヘラなどで潰しながら押しこむ。気にせずぎゅーっと押しこんで出来るだけ隙間を詰める。
3.ガラス瓶が一杯になったら、ペーパータオルや布巾をかけてゴム輪でしっかり止めてフタをする。フタがゆるいとコバエが入るおそれがある。常温で発酵開始。
※発酵を早めたい場合はドライイースト1gか、酢を原料の1/3ぐらい入れると良い。
4.2,3日経つとプツプツ泡が出て発酵しはじめ、びっくりするほど水が出てくる。フタを開けてヘラなどでかき回し柿をつぶしていく。4,5日程度経つと、熟しすぎた果物のアルコールのような匂いがしはじめる。1日1回はヘラでかき混ぜる。
5.さらに5日ぐらい経つと、柿はさらに形が崩れ、徐々に発酵したアルコールから酢の匂いに変化しはじめる。これが発酵の面白さ。ただ舐めてみても酸味はあまり感じない。10日後、アルコール臭から酢臭へ
6.14日ぐらい経つと、柿は原形をとどめないぐらいにトロトロになる。強烈な酢の匂いがしてくる。舐めてみると酸味を感じるようになる。表面に白い膜が張ることがあるが、これは産膜酵母と言われるもの。害はないので、混ぜ込んでしまって構わない。完全に柿の原形がなくなった
7.上下十分に混ぜてから舐めてみて、完全に酢の味になったところで、ザルなどに清潔なふきんなどを敷いて濾す。時間がかかるのでここは気長に。
8.濾したものは、不透明な色をしている。濾しても発酵は続いているので、密封しないでペーパータオルなどでフタをしてさらに熟成させるとまろやかでおいしい「柿酢」が出来上がる。
1ヶ月ほどかけて自作の「柿酢」が出来上がったので、何かおしゃれなものに詰めようかと思っていたら、おおっ!格好のがあるじゃないか、ピエトラ・コロンビナの空き瓶が。さっそく詰めてみると、発酵途中はおぞましい姿をしていたやつが、一気に高級品に変身!
自作酢が出来上がったらやってみたいのがドレッシング。柿酢と塩麹、エクストラバージンオリーブオイルの組み合わせは、どう考えても最強だ。作り方は簡単。柿酢:塩麹:オイル=1:1:1で合わせるだけ。あとはお好みで胡椒などを入れればよい。
ワイングラスに静かに注げば、カクテルのように美しい。
サラダにかけると、フルーティでまろやかな酸味と塩麹の旨味、上質なオイルのコクが合わさって絶妙の味だ。一切人工物が入っていないドレッシングは、飽きが来ないうえに体に効く感じがするから不思議。
「紅茶キノコ」と聞いてピンとくる世代は、昭和30~40年代ごろに生まれた方ではないだろうか。一時健康に良い、として多くの家庭で砂糖入りの紅茶に入れて育て、それを飲むのが大ブームになった。
種を明かすとキノコではなく、グルコンアセトバクター・キシリナスという菌で、セルロースを生成してコンニャクみたいなものになるところから、俗にコンニャク菌と呼ばれるのである。
ココナッツの汁で培養される菌の生成物ナタデココと同類だ。実は飲んでもあまり効果もないようだが、ブームとは恐ろしい。再び今、欧米のセレブの間では「コンブチャ」(KOMBUCHA)と呼ばれて脚光を浴びているそうだ。
柿酢を作っていると、この「コンニャク」ができることが多い。勇敢な人は食べたりしているが、とても私にはその勇気はない。写真はあまりちゃんとしていないが、しっかりコンニャクみたいに白く固まる。
いろいろな材料で自作酢を作り、オイルと合わせたオリジナルドレッシングは一度作ると病みつきになるほど楽しいし、美味しい。生き物だけに酢の発酵の過程も面白く、なんとおしゃれなコンブチャもできるのだ。
ぜひトライしてみてほしい。
ピエトラ・コロンビナ
トスカーナ州産の実を使用したオリーブオイルの「ヌーボー」
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。