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食用オイルには様々なものがありますが、日本で油が食生活の中に入ってきたのは室町時代後期から安土桃山時代にかけて。オリーブオイルの起源に至っては、7~8000年前の西アジア(トルコ南部)だそうです。
そんな歴史の深~い油にまつわるヒトネタや、ちょっぴり「へぇ~!」と感心しちゃうオイルの楽しみ方などを、4コマ漫画で楽しく紹介していきます。
こんにちは。主に雑貨企画制作、たまにライターやイラストもやる乙幡啓子(オツハタケイコ)と申します。今日からここ「オリーブノート」でイラストコラムや雑貨制作をすることになりました。極上のオリーブオイルのような、まったりと芳しく濃厚な記事をお見せできるよう頑張ります。
さて、油といえば思い出すのが…今度の大河「麒麟がくる」にもご出演なさる、戦国武将・斎藤道三の逸話です。そう、あの代役起用になったお方のお父さまです。
以前、司馬遼太郎氏の著作『国盗り物語』を読んで知ったのですが、道三は若い頃は美濃(現在の岐阜県南部)の油商人だったとか。店の名前もわかりやすく「油屋」で。
で、その油を行商して大成功していたんだそうです。
それがですね、いったいどんなやり方で成功したかというと…
前述の『国盗り物語』や、作者不詳の史書『美濃国諸旧記』によれば、油を注ぐのに通常使っていた「ろうと」を使わなかった。では何を使ったかというと、なんと穴の空いた「一文銭」を通して、ツツツーッと、絶妙の手さばきで注ぐという芸当を見せていたらしいんですね。あの小さい穴に、細ーく油を。大道芸みたいに。で、「もし油がこぼれたらお代はいただきません!」ってサービスも盛り込んだもんだから、美濃の国では大評判になったとか。
ちょっと自分でも現代の穴あき硬貨、それも50円より穴の大きい「5円玉」を使ってやってみたんですけど、どうしても最初とか最後にブレて油が手やシンクにこぼれてしまう。ああもったいない。5円玉にツヤはプラスされましたけど。
今より娯楽の少ないだろう時代に「一文銭油通し」(こんな名前だったかはわかりません)は鉄板コンテンツだったんですね。お客さんも万が一のチャンス「油こぼれてただにならねえかな」と淡い期待をこめて、道三の油売りに列をなした、と。
ちなみに道三は商人としての成功を収めるも、その後、油を買いに来た武士に「その技術を武芸に注げばいい武士になれるのに、惜しいよね」てなことを言われて一念発起。その通り武芸を極め、後の武将としての活躍につながるとか。
人生何がどう転ぶかわからないけど「芸は身を助く」とは言えそうなので、私ももっと何か頑張ろう…
※この話は、通説というくらいのものらしいです、念のため。
参考: 司馬遼太郎「国盗り物語」 新潮社 / 美濃国諸旧記
乙幡啓子
1970 年群馬生まれ・東京在住。「デイリーポータルZ」「フィギュア王」等の媒体で工作記事などを連載するほか、モノ作りイベントやワークショップ、講演などでも活動。
著書に「妄想工作」「乙幡脳大博覧会」「笑う、消しゴムはんこ。」。 また妄想工作所名義で「ほっケース」「スペース・バッグ」「ケルベコス」などの雑貨製作・企画も行う。
乙幡啓子オフィシャルサイト 妄想工作所
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。