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一時は収まったかに見えたコロナ禍も再び雲行きが怪しくなってきて、また家のみが復活!ということになりそうです。この3ヶ月でもう家のみ料理は出し尽くした!という方に、自作オイル、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノをご紹介します。このオイル、まるでハーバーリウムのように楽しめる上に、さらに好きな香りがつけられて、辛味の調整も自由自在という、なんとも楽しめる調味オイルです。食卓に1ビン置いておくだけで、なんだか豊かな気分になれるのです。やけに名前が長いですが、特に大したものでもありません。作るのも簡単です。
街イタリアンでは、ニンニクと唐辛子のパスタを“ペペロンチーノ”と呼ぶところが多いようです。我らが庶民の味方、サイゼリヤでも同じです。一方であのパスタを“アーリオ・オーリオ”と呼ぶ店もあります。これはどういうことでしょうか。
そもそも、アーリオ・オーリオ(aglio・olio)のアーリオとはニンニク、オーリオはオリーブオイルという意味です。アーリオ・オーリオとは、ニンニクを低温で熱して、オリーブオイルにニンニクの香りを移したものを言います。これに対し、ペペロンチーノ(peperoncino)とは唐辛子のことです。だから、そもそもペペロンチーノとアーリオ・オーリオの違いを日本語にすると、“唐辛子”と”ニンニクの香りを移したオリーブオイル”ということなので、そりゃ違うに決まっています。
日本でいう、あのスパゲティ“ペペロンチーノ”は実は和製英語で、イタリアでは“スパゲティー・アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ(spaghetti・aglio・olio e・peperoncino)”と言わないと通じません。日本では勝手に名前をちぎってしまったので、アーリオ・オーリオだけが取り残されて、ペペロンチーノとの違いって何だ?となるわけです。しまいには混乱が生じて、唐辛子の入ったパスタまでアーリオ・オーリオだというところも出てくるわけです。
つまり、ニンニクが入らない、唐辛子だけならペペロンチーノオイル、唐辛子の入らない、ニンニクだけならアーリオ・オーリオということです。
今回、私が目指しているのは唐辛子とニンニクの入ったオリーブオイルなので、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノオイルということになります。
今回はオイルはちょっとリッチにエキストラバージンオリーブオイルのピエトラ・コロンビナをベースにします。オイルを入れるボトルもピエトラ・コロンビナの250mlビンを使います。なんとなくアンティーク感が漂う、青みを帯びたガラスの色は温かみがあって、私は大好きです。今まで何本も使って空にしていますが、1本も捨てていません。かわいらしくて捨てられず、大小並んでコレクション化しています。ピエトラの小ビンがない方は、100均でもかわいいガラスビンが売られていますので、お好きなものをどうぞ。
ペペロンチーノオイル(ニンニクの入っていないもの)は、非加熱と加熱の両方の作り方があります。非加熱は唐辛子をオイルに漬け込み、1ヶ月ほど辛味を出して作るもの、加熱は唐辛子をオイルで加熱して辛味を出したものです。加熱の方がすぐ使えるようにはなりますが、加熱している分、短期で使い切る必要があります。
また、オイルは加熱すると酸化が早くなるし、エキストラバージンオリーブオイルのように香りが良く、かつ独特の苦味や辛味、コクがあるものは加熱によりその良さがやや失われるので、あまり加熱はしたくないところです。とはいえ、今回はアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノなので、ニンニクの香りを立たせるためには加熱が必要です。そこで変則的に一部加熱、一部非加熱で作ります。このやり方ならニンニクの香りもするが、非加熱のエキストラバージンオリーブオイルの良い所も残せるはずです。
1. 唐辛子とニンニクを切る。唐辛子は洗わずに、ペーパータオルなどで拭き、5mm程度の輪切りにする。種ごと使うと辛味が増すので、辛すぎるのが苦手なら種は除いて輪切りにする。唐辛子は素手で扱うと、後で目などをこすると大変なことになるので、ビニール手袋をしたほうがよい。ニンニクは薄切りにする。
2. オイルに他の香草を入れる場合は、あらかじめビンに入れておく。ハーバーリウムを意識して、綺麗に見えるように箸でつまんで位置を調整する。今回は生のローズマリーとローリエを入れている。
3. フライパンにオリーブオイル100mlと1を入れ、ごく弱火にかける。じわじわと温度を上げて、ニンニクの周りに細かい泡が出る程度にじっくりと加熱する。
4. ニンニクがごくうっすら色が付いたところで火を止める。ここでキツネ色にしてしまうと火を止めてもニンニクに加熱が進んでしまい、焦げてしまうので注意。常温まで冷ます。
5. 2のビンに冷めた4を静かに注ぎ入れる。全部注いだら、残しておいたオイルを注いでできあがり。
できたオイルはニンニクと香草の香りが立ち、種ごと入れたのでめちゃくちゃ辛い!けれど辛いだけでなく、とても深みのあるものになっています。ピエトラの青々しい芳香と独特の味わい深いクセもしっかり残っています。そこでさっそく、夏野菜のピザを作ってこのオイルをかけてみましょう。
ピザの土台は”オリーブオイルが大活躍!ほぼこねない手作りパンでメガハンバーガーをつくる”でも紹介したパン生地で作りました。
焼き上がったら、たっぷりオイルをかけていただきます。
自作アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノは、夏野菜たっぷりの比較的さっぱり系のピザにはピッタリ。ピリッとした辛味はもちろんですが、オイルの香りとコクがなんとも言えません。たちまち使い切りそうなおいしさです。ビールやワインがグングン進んでしまう味です。
まず、唐辛子は洗わないこと。これは水気が入るとオイルが悪くなるためです。次に、オイルにニンニクを入れるこのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノの場合は、とにかくニンニクを焦がさないことです。
火にかけているうちにこんがり良い色にしてしまうと、火を消してからもどんどん色が濃くなって、しまいには焦げる可能性があります。そうなると苦味が出るのでNGです。目安としてはニンニクが浮いてきて、少しクリーム色がかってきたくらいでOKぐらいです。あとは好きな香草をハーバリウムを楽しむつもりで入れてください。香草の香りは置いておくうちにどんどんオイルに溶け込んで、深い香りが漂うようになります。
ピエトラ・コロンビナ
トスカーナ州産の実を使用したオリーブオイルの「ヌーボー」
ヘルシーで様々な効能を持ったオイルへの注目が高まっています。中でもオリーブオイルの消費量は大きく伸び、同時に、ココナッツオイル、アルガンオイル、亜麻仁油、MCTオイルなど、なじみのなかった様々なオイルも注目されるようになってきました。
しかし、私たち日本人の日常的な食卓では、その活躍の幅はまだまだ狭く、真新しいノートのように真っ白な状態ではないでしょうか。 Olivenoteでは、読者の皆様の意見やオリーブノートアンバサダーへの参加を募りながら、カラダに美味しいオイルを中心に、楽しく健康的な食卓を築いて行ける情報を綴ってゆきます。